「本店所在地」を決めるときの工夫
前回は、「本店所在地」についての基本的な事項についての説明をしましたが、
今回は「本店所在地」を決定するときの一工夫について書いていきます。
例えば、本店の所在地を以下のような住所に定めたいとします。
北海道札幌市北区 北6条西4丁目 1番1号 ABCビル501号室
このような場合、次のように記載することができます。
①北海道札幌市北区 北6条西4丁目 1番1号 ABCビル501号室
ビル名や部屋番号まですべて記載する場合。
②北海道札幌市北区 北6条西4丁目 1番1号 501号室
ビル名を記載せずに部屋番号のみ記載する場合
③北海道札幌市北区 北6条西4丁目 1番1号 ABCビル5階
部屋番号を記載せず建物の階数だけを記載する場合
④北海道札幌市北区 北6条西4丁目 1番1号
ビルの所在番号までを記載する場合
それぞれの記載の違いにどのような影響があるかと言えば、以前の記事で紹介しましたが「会社法」では、「同一住所に同一商号を使用することはできない」と定められているので、所在地の記載方法によって同一の建物内に、自社と同じ商号の会社が登記できるかどうかということに影響します。
以下、それぞれの記載方法について詳しく説明していきます。
- ①②の場合
「501号室」という部屋番号まで記載されているので、ABCビルの501号室以外の部屋であれば、同一商号の会社がABCビルに登記することが可能です。
(自社が移転する場合)
同じABCビル内でも部屋が変わるので、変更登記が必要になります。
- ③の場合
「5階」という階数まで記載されているので、ABCビルの5階には同じ商号の会社を登記できませんが、5階以外のフロアであれば同じ商号の会社を登記することができます。
(自社が移転する場合)
同じビルの5階での移転であれば変更登記は必要ありません。
しかし、フロアが変わる場合は変更登記が必要になります。
- ④の場合
ビルの所在番地までの記載の場合は、ABCビルの中には同じ商号の会社を登記することができません。
(自社が移転する場合)
同じビル内での移転であれば、変更登記は不要です。
以上の違いがあります。
些細な表記の違いですが、次のような効果があります。
・自社の所在するビル内で同じ商号の会社に登記して欲しくない場合に、他社に同一商号での登記されることを防げる。
・将来的に同じビル内で移転の可能性がある場合、変更登記が不要になることがある。
今日はここまでです。
閲覧ありがとうございました。